家庭菜園で人気のズッキーニは、比較的育てやすい野菜とされていますが、中には「実がなかなか大きくならない」「途中で黄色くしおれてしまう」といったトラブルに直面することもあります。特に、元肥(もとごえ)なしで栽培している場合、養分不足が原因となっているケースが少なくありません。
今回は、ズッキーニの実が小さい・育たない主な原因と、その解決策について、家庭菜園初心者の方にも分かりやすく解説します。
ズッキーニの実が小さくなる主な原因
元気な葉が茂っているのに実が小さい、あるいは実がつく前に枯れてしまう場合、主に以下の原因が考えられます。
原因1:圧倒的な養分不足(最も多いケース)
ズッキーニは大食い!: ズッキーニは成長が非常に早く、たくさんの実をつけるため、想像以上に多くの養分を必要とします。特に、実がつき始めてからは、さらに多くの養分が要求されます。
元肥なし栽培の注意点: 元肥なしで栽培している場合、土壌にもともと蓄えられている養分だけでは、実を大きく成長させるのに不足する可能性が高いです。土壌中の養分が足りないと、株の生育が停滞し、実の肥大も進みません。
原因2:受粉不良
雌雄異花(しゆういか)の植物: ズッキーニは、雄花と雌花が別々に咲く植物です。雄花の花粉が雌花のめしべに運ばれることで受粉し、実が肥大します。
受粉がうまくいかないと…: ミツバチなどの昆虫が少ない、雨の日が続いて花粉が飛ばない、などの理由で受粉が不十分だと、実が大きくならずに途中で黄色くしおれて落ちてしまうことがあります。
原因3:水分不足
大量の水分を必要とする: ズッキーニは葉も大きいため、蒸散(植物からの水分の蒸発)が多く、非常に多くの水分を必要とします。
実の成長に直結: 水分が不足すると、実の肥大が滞るだけでなく、株自体が弱って生育不良を引き起こし、小さくなったり、奇形になったりすることもあります。
実が小さいズッキーニを大きく育てる解決策
原因が分かれば、対策も明確です。特に元肥なしで栽培している場合は、追肥がカギとなります。
解決策1:適切な追肥で養分を補給
追肥のタイミング: 実がつき始めた今が、まさに追肥の絶好のタイミングです。
肥料の種類:
- 即効性: 液体肥料(1000倍程度に薄めて使用)は、速やかに養分を供給できます。
- 緩効性: 固形肥料(化成肥料や有機肥料、例:鶏糞や夏野菜用ぼかし)は、じっくりと効果が持続します。リン酸分を意識した肥料を選ぶと、実の肥大を促進する効果が期待できます。
施肥量と頻度:
- **液体肥料**: 週に1回程度、たっぷりと水やり代わりに与えます。
- **固形肥料**: 株元から15〜20cmほど離れた場所に、一握り(約30g)程度を施し、軽く土に混ぜてから水やりをします。2〜3週間に1回程度が目安です。
- 観察が重要: 畑へ行く頻度に合わせて追肥を継続し、ズッキーニの樹勢(葉の色、大きさ、伸び具合など)や、実の付き方、大きさを見て、肥料の量や頻度を調整してください。葉が黄味がかってきたら肥料不足のサインです。
有機物の追加: 腐葉土や堆肥などを株元に敷き詰める草マルチも、長期的な養分供給と土壌改善に役立ちます。
解決策2:人工受粉で結実を確実に
実践方法: 雄花が咲いたら、その花粉を雌花(根元に小さな実が付いている花)の柱頭に綿棒や筆、または雄花を摘んで直接こすりつけるようにしてつけます。
最適な時間帯: ズッキーニの花は午前中に咲き、午後にはしぼんでしまいます。晴れた日の午前中(特に朝早い時間)に行うと成功率が高いです。
解決策3:適切な水やりで水分を確保
水やりのタイミング: 土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えましょう。特に実が肥大する時期は、乾燥させないように注意が必要です。
梅雨時期でも注意: 梅雨時期でも、雨が少ない日や、株元の土が乾いている場合は積極的に水やりをしましょう。
まとめ:観察と適切なケアで美味しいズッキーニを!
ズッキーニの実が小さいと悩む家庭菜園家の方にとって、養分不足は最も身近な原因の一つです。元肥なしで栽培している場合は、特に実がつき始めた後の追肥が重要になります。
適切な追肥、必要に応じた人工受粉、そして十分な水やりを心がけることで、株は健全に育ち、たくさんの美味しいズッキーニを収穫できるようになるでしょう。ぜひご自身のズッキーニの株の状態をよく観察し、適切なケアを実践してみてくださいね。
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