夏の家庭菜園で甘くてジューシーなトウモロコシの収穫は格別ですが、その喜びを阻む大敵がいます。それが「アワノメイガ」です。この害虫はトウモロコシの茎や実に侵入し、大きな被害をもたらします。今回は、アワノメイガの発生時期から、その被害、そして家庭菜園で実践できる効果的な防除対策について詳しく解説します。
トウモロコシの大敵!アワノメイガとは?
アワノメイガは、メイガ科に属する蛾の一種で、その幼虫がトウモロコシをはじめとするイネ科植物に大きな被害を与えます。幼虫は茎の中に食入したり、実を食害したりするため、見つけにくく、一度被害に遭うと対処が難しい厄介な害虫です。
アワノメイガの発生時期と被害
発生のピーク: アワノメイガは、一般的に6月~8月ごろに発生のピークを迎えます。特に、トウモロコシの雄穂(ゆうすい)が出る時期(出穂期)に多く見られます。梅雨明け頃から活動が活発になり、7月~8月の高温期に発生が多くなる傾向があります。成虫は6月中旬〜下旬、7月下旬〜8月上旬、さらに8月下旬〜9月上旬にかけて発生サイクルが見られます。
被害の部位:
- 雄穂: 成虫が雄穂に卵を産み付け、孵化した幼虫が雄穂の内部に食入し、養分を吸収します。
- 茎: 幼虫は茎の中にも食入し、内部を食い荒らします。これにより、茎が折れたり、株が弱ったりすることがあります。
- 雌穂(実): 最も厄介なのが雌穂への被害です。幼虫は雌穂の先端にある**絹糸(シルク)から侵入し、そのまま実(粒)を食害**します。外見からは被害が分かりにくく、収穫時に中を開いて初めて被害に気づくことも少なくありません。
アワノメイガの被害を抑える家庭菜園での防除対策
完全に被害を防ぐのは難しいかもしれませんが、いくつかの対策を組み合わせることで、被害を大幅に軽減し、美味しいトウモロコシを収穫できる確率を高めることができます。
対策1:雄穂(雄花)の早期除去
最も基本的な対策: 雄穂はアワノメイガが卵を産み付ける主要な場所の一つです。トウモロコシの人工受粉が完了したら、あるいは自然受粉で花粉の飛散が終わったと判断したら、雄穂を切り取ってしまいましょう。
目安のタイミング: 梅雨明け前、特に6月中旬までに雄穂を全て切り取ることが望ましいです。これにより、アワノメイガが活発になる前に、彼らの産卵場所を減らすことができます。
メリット: 雄穂に回るはずだった養分が実に集中し、より大きく甘いトウモロコシの収穫にも繋がります。
対策2:物理的バリアの活用
不織布や防虫ネット: トウモロコシの株を不織布や防虫ネットで覆うことで、アワノメイガの成虫が株に近づき、卵を産み付けるのを物理的に防ぐことができます。
- **設置方法**: 側面のみの設置でも、ある程度の効果は期待できます。成虫の侵入経路を限定したり、獣害対策としても機能します。
- 注意点: 株が大きくなると全体を覆うのは難しくなります。また、完全に密閉すると通気性が悪くなる場合があるので注意が必要です。
雌穂への袋かけ: 雌穂が形成され、絹糸が出始めた頃に、専用の袋(市販のトウモロコシ用袋や、目の細かいネット袋など)をかける方法も有効です。これにより、アワノメイガが絹糸から侵入して実を食害するのを防ぎます。ただし、全ての穂に行うには労力がかかります。
対策3:こまめな観察と早期発見
卵塊の除去: アワノメイガの卵塊は、白い魚の鱗のように重なって産み付けられることが多いです。特に葉の裏側や茎、雄穂、雌穂の苞葉などに注意して、こまめに確認し、見つけたら葉ごと取り除いたり、幼虫を捕殺したりしましょう。
フンや食害痕のチェック: 雄穂や雌穂の絹糸の根元に、黒いフン(虫のカス)や食入痕がないか注意深く観察します。これらのサインを見つけたら、被害が広がらないうちに何らかの対応を検討します。
対策4:生物農薬の利用(必要であれば)
家庭菜園で化学農薬の使用を避けたい場合は、生物農薬の活用も検討できます。BT剤(バチルス・チューリンゲンシス): これは害虫の幼虫に特異的に作用する微生物由来の農薬で、人畜には無害とされています。アワノメイガの幼虫が葉などを食害した際に効果を発揮します。食入されてしまうと効果は薄れるため、幼虫が食入する前の早期散布が重要です。
まとめ:複数の対策で美味しいトウモロコシを守ろう
アワノメイガの防除は、一つの方法に頼るのではなく、複数の対策を組み合わせる「総合的病害虫管理(IPM)」の考え方が重要です。 雄穂の早期除去で最初の産卵場所を減らす。
こまめな観察で卵や幼虫の早期発見に努め、物理的に除去する。
不織布や袋かけなどの物理的バ防除策で侵入を困難にする。
これらの対策を講じることで、アワノメイガの被害を最小限に抑え、今年の夏も甘くて美味しいトウモロコシをたくさん収穫できるはずです。諦めずに、ぜひ実践してみてくださいね!
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