【徹底解説】玉ねぎ栽培のカギ!品種別・月別「元肥・追肥のタイミングと土作り&病害虫対策」完全ガイド

秋に定植し、春から初夏にかけて収穫を迎える玉ねぎ。家庭菜園の定番野菜ですが、大きく甘い玉ねぎを育てるためには、品種に合わせた計画的な土作りと肥料管理、そして病害虫対策が非常に重要になります。

今回は、玉ねぎの「元肥」と「追肥」の考え方、それに付随する「土寄せ」や「病害虫対策」について、品種(極早生・早生・中晩生)ごとの目安を交えながら、月ごとの作業計画として具体的に解説します。これを見れば、きっとあなたの玉ねぎ栽培は成功するはずです!

玉ねぎ栽培の基本スケジュールと品種別の特徴

玉ねぎは、主に秋に定植し、冬を越して春から初夏に収穫する作物です。品種によって生育期間や収穫時期、耐寒性が異なります。

極早生(ごくわせ):

  • **特徴**: 最も早く収穫できる品種(4月下旬〜5月上旬頃)。べと病に弱く、トウ立ちしやすい傾向があるため、苗の選択と冬の管理が特に重要。貯蔵には不向き。
  • **向いている人**: 新玉ねぎをいち早く収穫したい人。

早生(わせ):

  • **特徴**: 極早生に次いで収穫できる品種(5月中旬〜下旬頃)。比較的トウ立ちしにくく、栽培しやすい。貯蔵には不向き。
  • **向いている人**: 初めて玉ねぎを育てる人、早めの収穫を楽しみたい人。

中晩生(ちゅうばんせい):

  • **特徴**: 最も多く栽培される品種(6月上旬〜下旬頃)。耐寒性が強く、トウ立ちしにくい傾向がある。貯蔵性が高く、長期保存が可能。
  • **向いている人**: 長期保存したい人、本格的に玉ねぎを栽培したい人。

玉ねぎ栽培「月ごとの作業計画」

ここでは、11月上旬の定植を想定した月ごとの作業計画をご紹介します。

9月:土作りのスタートとpH調整

作付け範囲の準備:

  • 前作の残渣や大きな雑草を取り除き、畝の表面をきれいにします。
  • これまでの畝の形(肩の部分)は壊さず、玉ねぎを植え付ける「作付け範囲だけ」を浅く(15〜20cm程度)耕します(スコップでザクザク、鍬で浅く耕すイメージ)。

土壌pH調整(苦土石灰の投入):

  • 玉ねぎは弱酸性〜中性(pH6.0〜6.5)の土壌を好みます。土壌が酸性寄りの場合は、この時期に苦土石灰を投入します。
  • **投入量目安**: 1平方メートルあたり100g〜200g。
  • **方法**: 作付け範囲に均一にまき、土としっかり混ぜ合わせます。
  • **ポイント**: この後に入れる堆肥・元肥との間隔を2週間程度空けるのが理想です。

10月:有機物の投入と元肥、畝の最終調整

有機物の投入(堆肥):

  • 苦土石灰投入から2週間ほど経ったら、土壌をふかふかにし、地力を高めるために有機物を投入します。
  • **種類**: 腐葉土、雑草堆肥、牛糞堆肥などがおすすめです。土壌の団粒構造化を促進し、水はけ・水持ち・通気性を向上させます。
  • **投入量目安**: 1平方メートルあたり2〜3kg。
  • **方法**: 作付け範囲に広げ、土としっかり混ぜ合わせるように耕します(深さ15〜20cm程度)。

元肥の投入:

  • 堆肥投入から1〜2週間程度経ったら、玉ねぎの生育に必要な養分を供給するための元肥を投入します。
  • **種類**: 有機質肥料を基本とします。特におすすめは、米ぬか、油かす、鶏糞、そしてリン酸豊富なバッドグアノの組み合わせです。リン酸は根の発達と玉の肥大を促します。
  • **投入量目安**: 鶏糞なら1平方メートルあたり200g〜300g。肥料の種類によって調整が必要です。
  • **方法**: 作付け範囲に均一にまき、鍬などで浅く土と混ぜ合わせ、根が直接肥料に触れすぎないようにします。

畝の最終整形と高さ確保:

  • 玉ねぎは過湿を嫌うため、定植前に畝を高く整えます。畝間を掘り下げて土を畝に盛り上げ、排水性を確保しましょう。掘り下げた土は、今後の土寄せに活用できます。
  • 畝の表面を平らにならします。

11月:玉ねぎ苗の定植

適期の苗を選ぶ:

  • 最も重要! 玉ねぎの定植に適した苗の太さは、**直径5mm〜7mm(鉛筆の芯の太さ程度)**です。
  • **太すぎる苗(直径8mm以上)**はトウ立ちのリスクが非常に高いため、避けるのが賢明です。
  • **細すぎる苗(直径3〜4mm以下)**は枯死や生育不良のリスクが高いため、定植後の管理が重要になります。

定植作業:

  • 株間・条間を確保し、一つずつ丁寧に植え付けます。根がしっかりと土に触れるように植え付け、軽く鎮圧します。

12月〜2月:冬季の管理と追肥、病害虫対策

不織布トンネルの設置(必須ではないが効果的):

  • 目安のタイミング: その年の冬の気候予測と苗の太さで判断します。
  • **【苗が細い(直径3〜4mm程度)場合】**: **無条件で定植後すぐに設置**。寒さからの保護と初期生育の促進が目的です。
  • **【苗が適正サイズ(直径5〜7mm)の場合】**:
    • **暖冬傾向の場合**: 基本的に設置しない。過度な保温はトウ立ちを誘発する可能性あり。
    • **年明けに厳冬が予想される場合**: 大晦日〜1月上旬に設置。
    • **12月上旬に急な冷え込みが予想される場合**: 早め(12月初旬)に設置し、年明けの暖冬傾向を見て撤去を検討。
  • **目的**: 霜や寒風から苗を守り、枯死を防ぐ。地温を安定させ、春化処理を適切に進める。

1回目の追肥と土寄せ(年内):

  • **時期の目安**: 11月下旬〜12月上旬頃(品種問わず)
  • **肥料**: 鶏糞やぼかし肥(有機質肥料)を基本とします。同時に**カキ殻石灰**も散布し、カルシウム補給と病害虫抵抗性向上を目指します。
  • **作業**: 玉ねぎの**条間を浅く中耕**し、そこに肥料とカキ殻石灰をまきます。その後、**条間の土を株元に寄せて土寄せ**します。土が足りなければ畝間から補給します。
  • **目的**: 冬越しの体力づくり、病害虫抵抗性の強化。

2月〜3月:2回目の追肥と不織布トンネルの撤去、病害虫対策

不織布トンネルの撤去:

  • **時期の目安**: 2月下旬〜3月上旬頃。暖かくなり始め、苗が十分に育ち、強い寒の戻りの心配がなくなったら撤去します。早すぎると寒害のリスク、遅すぎると蒸れやトウ立ちのリスクが高まります。

2回目の追肥と土寄せ(年明け):

  • **時期の目安**: 2月上旬〜中旬頃(極早生・早生は2月中旬頃、中晩生は3月上旬頃まで)。
  • **肥料**: 鶏糞やぼかし肥。急な生育促進が必要な場合は即効性のある化成肥料(例: 8-8-8)も検討します。こちらもカキ殻石灰を合わせて施用すると良いでしょう。
  • **作業**: 1回目と同様に、条間を浅く中耕し、肥料をまき、土寄せを行います。
  • **目的**: 春からの本格的な玉の肥大を促す。

病害虫対策(葉面散布):

  • 玉ねぎの生育期を通じて、特に春先の病害(べと病など)対策として、**ストチュウ(木酢液・竹酢液の希釈液)を定期的に葉面散布**するのがおすすめです。植物の抵抗力を高め、病気にかかりにくい株に育てます。

4月〜6月:収穫に向けた最終管理

水やり: 春からの玉の肥大期は、水分を多く必要とします。土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えましょう。
追肥(最終): 品種や生育状況によっては、玉の肥大が遅い場合に3回目の追肥を少量施すこともあります。しかし、窒素過多は貯蔵性を損なうため注意が必要です。一般的には2回で十分です。
病害虫の観察: 引き続き病害虫の発生に注意し、必要に応じて対策を行います。
収穫: 葉が倒れ始めたら収穫のサインです。品種の収穫時期を目安に、晴れた日に収穫しましょう。

まとめ:計画と観察で大成功!

玉ねぎ栽培は、秋からじっくりと時間をかけて行いますが、各段階での適切な管理が大きく収穫量と品質を左右します。特に、品種に合わせた定植と管理、元肥・追肥のバランス、そして冬季の気象条件に応じた柔軟な対応が成功の鍵です。

このガイドを参考に、ぜひあなたも大きく甘い玉ねぎの収穫を目指してください。日々の観察と、愛情を込めた手入れが、美味しい玉ねぎを育てる一番の秘訣です!

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