秋に種まきをして育てるソラマメは、独特の風味とホクホクとした食感が魅力の野菜です。
特に家庭菜園では、採れたての美味しさは格別ですよね。ソラマメ栽培を成功させるためには、種まきの約2ヶ月前、つまり夏の時期にしっかりと土壌改良を行うことが非常に重要になります。
今回は、現在細い針のような雑草が生えている畝を想定し、10月のソラマメ種まきに向けて、夏にできる効果的な土壌改良の方法を家庭菜園初心者の方にも分かりやすく解説します。
ソラマメ栽培成功の鍵は「夏の土作り」
ソラマメはマメ科植物なので、根に共生する根粒菌の働きで、空気中の窒素を土に固定する「窒素固定」を行うことができます。
この根粒菌が活発に働くためには、土壌のpH(酸度)が適切であることと、通気性・水はけの良いフカフカの土壌であることが非常に重要です。
夏の間にこれらを整えることで、秋の種まきからスムーズな生育を促します。
10月の種まきに向けた夏の土壌改良計画
月1〜2回しか畑に行けない状況でも、効率的に土壌改良を進めるための「理想的なタイムライン」をご紹介します。猛暑の中での作業負担を減らしつつ、土壌改良の効果を最大限に引き出すことを目指します。
ステップ1:地上部の雑草を刈り取り、苦土石灰をまく(7月上旬〜中旬目安)
まずは、現在生えている細い針のような雑草を含め、畝の地上部をきれいに刈り取ります。これにより、雑草が種をつけるのを防ぎ、今後の作業もしやすくなります。刈り取った雑草は細かく刻んでその場で土に混ぜ込むか、後で草マルチとして利用できます。
次に、苦土石灰を畝全体に均一にまきます。ソラマメはpH6.0〜7.0の弱酸性〜中性の土壌を好むため、酸性に傾きがちな日本の土壌のpHを調整するために必須の作業です。土壌診断を行っていない場合は、1平方メートルあたり100g〜200g程度を目安にしてください。まいた後は、軽く土と混ぜ合わせましょう。
※苦土石灰は、次に投入する有機物(腐葉土や米ぬか)と同時に混ぜると、化学反応でガスが発生し、植物に悪影響を与える可能性があります。そのため、有機物を投入するより2週間ほど前にまくのが理想的です。月に1〜2回の訪問でも、この「期間を空ける」ことを意識することが、効果的な土壌改良につながります。
ステップ2:腐葉土などの有機物と米ぬかを投入(7月下旬〜8月上旬目安)
苦土石灰をまいてから2週間ほど経ったら、いよいよ土壌の生命力を高める有機物を投入します。
腐葉土: 畝全体に厚さ2〜3cm程度を目安に均一に広げ、土と軽く混ぜ合わせます。腐葉土は、土壌の物理性(水はけ、水持ち、通気性)を大きく改善し、微生物の住処を増やし、ゆっくりと植物に養分を供給してくれます。
米ぬか: 1平方メートルあたり200g〜300g程度を目安に、腐葉土の上にまくか、腐葉土と混ぜてからまきましょう。米ぬかは土壌微生物にとって最高のエサとなり、微生物の活動を活発化させ、土壌の団粒構造(土の塊が適度な大きさで集まることで、通気性と保水性が高まる理想的な状態)の形成を促進します。多すぎると発酵熱や虫の発生に繋がるので、量には注意してください。
これらの有機物も、スコップで軽く土と混ぜ合わせる程度で大丈夫です。深く耕しすぎる必要はありません。
ステップ3:黒マルチまたは草マルチで畝を覆う(8月上旬以降)
有機物を投入したら、畝全体を黒マルチで覆うか、刈り草が十分に確保できる場合は草マルチを厚めに敷きます。この作業は、夏の土壌改良において非常に効果的です。
雑草抑制効果: 太陽光を遮断することで、夏場に生えてくる新たな雑草の発芽を強力に抑制します。これにより、秋の種まき時まで畝をきれいに保てます。
地温上昇効果: 夏の強い日差しを受けてマルチの下の地温が上がり、投入した有機物の分解をさらに促進します。微生物の活動が活発になり、土作りが進みます。
保湿効果: 土壌からの水分蒸発を防ぎ、適度な湿度が保たれます。
もし刈り草が豊富にあれば、黒マルチの上にさらに草マルチを敷く「合わせ技」もおすすめです。これにより、地温上昇と保湿効果がさらに高まり、土壌への有機物供給も継続されます。
まとめ:夏の準備が秋の豊作を呼ぶ
玉ねぎの育苗同様、ソラマメも定植後の生育は夏の土作りにかかっています。特に、苦土石灰でpHを調整し、腐葉土や米ぬかで土壌の物理性と微生物環境を整えることは、根粒菌の働きを促すマメ科植物にとって非常に重要です。
猛暑の中での作業は大変ですが、計画的にステップを踏むことで、体力の負担を減らしつつ、最高の土壌を準備することができます。夏の間にしっかりと土壌改良を行うことで、10月のソラマメの種まきが楽しみになり、きっとたくさんの美味しいソラマメを収穫できるでしょう!
コメント