家庭菜園で「不耕起栽培」に挑戦してみたいけれど、夏の雑草が心配…と悩んでいませんか?特に、さつまいものようなツル性植物は、雑草をうまく活用することで、土を耕さずに豊かに育てることができます。今回は、早春から生えた雑草を活かし、不耕起でさつまいも苗を植え付ける際のポイントと、夏の管理術をご紹介します。
不耕起栽培でさつまいもを植え付ける基本
不耕起栽培では、土を耕さずに自然の力を活かすため、畑に生えている雑草も大切な資源となります。さつまいもを植え付ける際は、まず早春から生い茂った雑草を押し倒し、そのまま苗を植え付けていくのが基本的なアプローチです。押し倒された雑草は、やがて枯れて土の表面を覆う「草マルチ」となり、土壌の乾燥を防ぎ、土壌微生物の活動を助け、さらには新たな雑草の発生を抑制する効果が期待できます。
収量を増やすなら「斜め植え」が基本
さつまいもは、ツル苗の「節」から出る根が肥大してイモになります。家庭菜園でイモをそこそこ大きく、数も多く採りたい場合は、「斜め植え(舟底植え、V字植え)」と呼ばれる方法がおすすめです。ツル苗の真ん中あたりを斜めに浅く埋め、両端の葉を地上に出します。この際、2〜3節以上をしっかりと土中に埋め込むことで、多くの節からイモが発生し、収量アップにつながります。
ツルの切り口を地中に差し込むだけの方法でも育ちはしますが、埋まる節が少ないため、イモの数が限られ総収量は少なくなる傾向があります。イモのつき方を考慮して植え方を選びましょう。
不耕起でのさつまいも栽培:夏の雑草対策がカギ
不耕起栽培で特に気になるのが、夏の強力な雑草との付き合い方です。早春の草は枯れてくれますが、夏に生え始める雑草は非常に生命力が強く、さつまいもの生育を妨げる可能性があります。最大の懸念は、さつまいものツルが畝を覆い尽くすまでの初期段階での雑草との競合です。
植え付け時の雑草処理は「株元だけ」
畝全体をきれいにする必要はありません。植え付けるさつまいも苗の周りだけでも、雑草をしっかり処理することが重要です。雑草を押し倒すだけでなく、植え付ける株の周囲の地上部のみを短く刈り込むようにしましょう。これにより、苗が雑草に光や養分を奪われることなく、スムーズに生育を始められるスペースを確保できます。畝全体ではなく、株元周辺に限定することで、労力を抑えつつ効率的な管理が可能です。
厚い草マルチで徹底抑制
押し倒した雑草の上に、さらに刈り草や稲わらなどを厚く敷き詰める「厚い草マルチ」を実践しましょう。これは、不耕起栽培における雑草抑制の要です。光を遮断することで、新たな雑草の発芽を強力に抑制し、土壌の乾燥も防いでくれます。
初期の雑草手入れとツル返し
さつまいものツルが畝全体を覆うまでは、特に気を配りましょう。月1〜2回の畑作業時でも、訪問した際には株元周辺の強い雑草は優先的に手で除去するようにします。さつまいものツルが十分に伸びて畝を覆ってしまえば、ツルの陰で雑草はほとんど生えなくなるので、それまでの管理が勝負です。
また、さつまいものツルが地面に根を張ってイモをつけないように、定期的にツルを持ち上げてはひっくり返す「ツル返し」も有効な管理方法です。この作業を行う際に、ツルに絡まった雑草も同時に取り除くことができます。
土壌への配慮:植え付け穴は柔らかく
不耕起栽培では土を耕しませんが、さつまいもは、固い土壌だと奇形になったり、十分に肥大しなかったりすることがあります。そこで、植え付ける穴だけでも少し深めに掘り、土を柔らかくしておくと、初期の根張りが良くなります。これにより、イモの生育を助けることができます。
まとめ
雑草を活かした不耕起でのさつまいも栽培は、土壌の健康を育みながら、省力的に野菜を育てる素晴らしい方法です。初期の雑草対策として「株元周辺の刈り込み」と「厚い草マルチ」を徹底し、さつまいものツルが畝を覆うまでの間を乗り切れば、後はぐんと管理が楽になります。
購入した苗の葉が枯れかかっていても、ツルがしっかりしていれば水揚げをしっかり行い、諦めずに植え付けてみましょう。さつまいもの生命力は想像以上に強いです。この方法で、ぜひ美味しいさつまいもをたくさん収穫してくださいね!
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