家庭菜園で玉ねぎの苗づくりをしたいけれど、設備も資材も限られている…。
そんな方におすすめなのが「貧乏育苗」スタイルです。この記事では、自宅の軒下など身近な環境で、極早生玉ねぎを上手に育苗する方法を、育苗前〜定植までのフェーズに分けて紹介します。
育苗準備:まずは場所と資材の工夫から
発芽まで軒下スペースを活用しよう
育苗容器を何も考えずに外に置いておくと、日中の高温、夜間の乾燥、突然の雨など多くの環境リスクにさらされます。そこでおすすめなのが「軒下」や「ベランダ」など、半屋外の安定した環境。直射日光が当たらず、雨にも濡れにくい場所は理想的です。
発芽後は寒冷紗トンネルで管理します。
セルトレイ+育苗倍土でスタート
セルトレイを使う場合は、乾燥に強く保水性のある育苗培土を選びましょう。使用済みの土を使う場合は、ふるいにかけて再利用し、可能なら熱湯や日光消毒でリセットしておくと安心です。
種まきと発芽まで:玉ねぎは「嫌光性」なので光に注意!
嫌光性種子に必要な「遮光」
玉ねぎは嫌光性種子です。発芽には光を嫌うため、種まき後にはしっかりと覆土(5〜7mm)し、さらに新聞紙を1〜2枚かぶせて遮光しておくと発芽率が高まります。
乾燥を防ぐには新聞紙が大活躍
新聞紙を上に乗せることで光を遮るだけでなく、倍土の水分の蒸発も防いでくれます。
朝晩は新聞紙の上からジョウロでやさしく潅水しましょう。水が足りないと発芽が揃わず、逆に乾燥しすぎると倍土がカチカチに固まってしまいます。
🌱 発芽の兆しが見えたら、すぐに新聞紙を取り外しましょう!
発芽後の管理:徒長させず、しっかり育てるために
水やりは「底面給水」で控えめに
発芽後は水をやりすぎると徒長の原因になります。そこでおすすめなのが底面給水。育苗トレーの下に受け皿を置き、そこに水を張ることで、表土は乾き気味に保ちつつ根にしっかり水を届けます。
乾きすぎると倍土が固くなる
徒長を嫌って水やりを控えすぎると、今度は培土が乾燥しすぎて硬くなり、根が張れずに苗が弱ってしまいます。表土が乾いてきたタイミングで適度に底面給水し、水やりの強弱をつけながら管理することがコツです。
簡易寒冷紗トンネルで遮光・通風もバッチリ
9月〜10月初旬は日差しが強すぎる
育苗初期の9〜10月初旬は、直射日光がセルトレイを過熱しやすく、根腐れや水切れのリスクが高まります。そこで有効なのが遮光率35〜40%の寒冷紗トンネルです。
トンネルの両端は常に開放でOK
寒冷紗トンネルは両端を開けたままで設置すれば、通風が保たれて蒸れのリスクも低減できます。雨除けにはなりませんが、軒下での管理ならその点もクリアできるでしょう。
10月中旬以降は不織布の出番?
気温が下がる10月中旬以降は寒冷紗を外し、不織布で保温する選択肢もあります。
夜間の冷え込みや乾燥風対策として、不織布を「夜だけかける」という運用も有効です。
おわりに:観察と調整こそが育苗の極意
高価な育苗ハウスがなくても、新聞紙・寒冷紗・底面潅水といった「手持ちの資材」と「観察する目」があれば、丈夫な玉ねぎ苗は育ちます。
- 日差しが強すぎるなら寒冷紗で調整
- 水が足りないと思ったら底面給水で補う
- 苗の色や葉の伸びをよく観察して、水の量と光を調整
このように育苗は「感覚」と「観察力」がものを言います。貧乏育苗でもコツさえつかめば、立派な玉ねぎ苗がきっと育ちますよ!
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