前回、少し元気がなく萎れてしまったナス株の状況をお伝えしました。土に指を入れても湿り気がない状態だったので、おそらく乾燥による水不足が原因だろうという見立てでした。
それから数日後、5月20日に畑を訪れて確認したところ、嬉しいことに、萎れていたナス株に新しい花が咲き始めていました!前回の萎れが嘘のように、株全体も回復の兆しを見せています。今回は、このナス株の現在の状況と、これからの夏に向けて美味しいナスをたくさん収穫するための、具体的な管理方法について解説していきます。
5月20日時点のナス株の状況チェック
写真をご覧ください。前回の訪問時と比べて、明らかに株が元気を取り戻しているのがわかります。特に、新しい花が咲き始めているのは、株が順調に生長し、実をつける準備に入った証拠です。葉にはまだ虫食いの跡が見られますが、新しい葉も展開しており、全体的な勢いは悪くありません。

【前回の課題と現状】
- 水不足からの回復:前回萎れていたのは、土中の乾燥が原因と判断しましたが、その後、土壌に十分な水分が行き渡ったことで、株が回復したと考えられます。
- 葉の虫食い:葉に穴が開いていますが、これはナメクジなどの食害によるものでしょう。しかし、株の勢いがあるので、致命的なダメージには至っていません。新しい葉が健全に伸びていれば、問題ありません。
この回復は、ナスの持つ生命力の強さと、適切な水管理の重要性を改めて教えてくれました。
夏のナス豊作へ!2回目の追肥と今後の管理術
ナスはこれから花を次々と咲かせ、たくさんの実をつけ始める「本格的な収穫期」へと入っていきます。この時期には、株が多くのエネルギーを消費するため、適切な養分供給と丁寧な管理が欠かせません。
1. 待望の2回目の追肥!タイミングと方法
前回の追肥から約20日経過しました。ナスが花を咲かせ始めたこの時期は、まさに2回目の追肥のベストタイミングです。これから実を次々とつけさせるためには、継続的な養分補給が不可欠になります。
- なぜ今必要?:ナスは果実を肥大させるために多くの養分を必要とします。このタイミングで追肥を行うことで、株の体力を維持し、次々と質の良い実をつけさせる準備ができます。
- 肥料の種類:リン酸とカリウムがバランス良く含まれた有機質のぼかし肥がおすすめです。もしご自身で「米ぬか+油かす+魚粉(リン)」のぼかし肥をお持ちであれば、それが理想的です。
- 施肥方法:株元から15〜20cm程度離れた、根がこれから伸びていく畝の肩寄りの場所に、少量のぼかし肥をパラパラとまきます。その上から、必ず厚い草マルチを被せてください。未発酵のぼかし肥である可能性を考慮し、直接根に触れないよう、株から十分に距離を取ることが重要です。
- 今後の頻度:これからナスの収穫が本格化する時期には、株の生育状況や収穫量を見ながら、2〜3週間おきを目安に追肥を続けるのが理想的です。ただし、葉の色が濃すぎるなど、窒素過多の兆候が見られる場合は、間隔を空けるか、量を減らしてください。
2. 水管理の徹底:乾燥は収量減に直結!
ナスは果菜類の中でも特に水分を好む野菜です。特に、花が咲いて実が肥大する時期は、多量の水分を必要とします。一度でも水切れを起こすと、実が硬くなったり、曲がったりする原因になります。
- 土のチェック:たとえ雨予報が続いていても、実際に土の奥まで湿っているか、指を入れて確認する習慣をつけましょう。雨が降っても、強い日差しと風が続くと土の表面は意外と早く乾いてしまうことがあります。
- 厚い草マルチの維持・追加:水分の蒸発を抑え、地温を安定させるための草マルチは、引き続き最重要です策です。もし薄くなっているようであれば、刈り草や稲わらなどをさらに追加し、畝全体をしっかり覆うようにしてください。新聞紙を一時的に使う場合は、上から枯れ草などを被せることで、より効果を高め、見た目も整います。
3. 整枝・誘引:風通しと光を確保し、株を安定させる
ナスは生長すると枝が茂り、実の重みで倒れやすくなります。適切な整枝と誘引は、病気予防と収量アップに繋がります。
- 整枝:脇芽を早く取りすぎてしまったと後悔されているとのこと、経験から学ぶのは素晴らしいことです。今回は育てる脇芽を選定済みとのことですので、その脇芽を主枝として、一般的に行われる「3本仕立て」を目指しましょう。混みすぎた枝や、地面に近い下葉は適宜取り除き、風通しを良くすることで、病害虫の発生を抑える効果もあります。
- 誘引:すでに1本支柱が立ててあるので、今後は株の生長に合わせて、支柱に茎を紐などで誘引してください。今年は「吊るし仕立て」を検討されているとのことですので、株が大きくなる前に、吊るすための構造(横渡し支柱や天井からの紐など)を準備しておくとスムーズです。株の重みで茎が傷つかないよう、緩めに誘引することがポイントです。
4. 摘果:株の体力を温存し、実を大きくする
株がまだ小さい時期にたくさん実をつけさせると、株の体力が消耗し、その後の生育に悪影響が出ることがあります。株が貧弱でないと判断されているとのことですので、この「摘果」は非常に有効な判断です。
- タイミング:一番花からできた実は、株の体力を温存するために、小さいうちに(卵くらいの大きさになったら)摘み取りましょう。
- 効果:株の栄養を枝葉の成長に回し、株全体を大きく丈夫にすることで、その後の本格的な収穫期に、より大きく質の良いナスをたくさん収穫できるようになります。
5. 病害虫対策:継続的なチェックと予防
葉の虫食いは気になるものの、新しい葉が元気なら一安心です。しかし、高温多湿になるこれからの時期は、様々な病害虫が発生しやすくなります。
- 継続的な観察:畑に訪問した際には、葉の裏側や茎の付け根、新しい葉など、虫が隠れやすい場所を重点的にチェックしてください。早期発見・早期対応が被害を最小限に抑える鍵です。
- ストチュウ・木酢液:引き続き、ストチュウ(木酢液入り)の定期的なスプレーは、忌避効果や植物の抵抗力向上に役立ちます。油石鹸水は、アブラムシなどが大量発生した場合の最終手段として備えておくと良いでしょう。
- 環境改善:厚い草マルチと適切な整枝による風通しの確保は、病害虫が発生しにくい環境を作る上でも重要です。
まとめ:丁寧なケアで、美味しいナスをたくさん収穫しよう!
萎れから見事に回復し、花を咲かせ始めたナス株。この調子で、夏に向けてさらに大きく生長し、たくさんの美味しい実をつけてくれることでしょう。
不耕起・半月管理という条件下でも、「徹底した水管理」「厚い草マルチの維持」「適切な追肥」「整枝・誘引による株の健全化」「早期摘果による体力温存」といったポイントを押さえることで、ナスの栽培は十分に成功させることができます。
畑に足を運んだ際には、ナスの生育状況をよく観察し、愛情を込めて手入れをしてあげてください。きっと、その手間が、夏の食卓を彩る豊かな収穫へと繋がりますよ。
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