イチゴの収穫を終える5月中旬。花や実の役目を果たした親株が、次のサイクルに向けて動き始める時期です。特に一季なりイチゴでは、5月以降にランナーが次々と出てきて、来年用の苗づくりがスタートします。
今回の目的は、親株を維持しつつ、子株を2つだけ育てること。
限られたスペースと手間の中でも、ポイントを押さえれば、秋にはしっかり育った苗を定植することが可能です。
ここでは、5〜10月の流れに沿って、実践的な子株育成方法を紹介します。
※写真掲載アドバイス:親株からランナーが1本出ている状態、健康な葉と花芽のない姿
【5〜6月】子株選びと集中管理のスタート
ランナーが出たら「育てる子株を選ぶ」
5月中旬には、親株の基部からランナー(匍匐茎)が1〜2本伸び始めます。この時期にやるべきことは、どのランナー・どの子株を育てるか、早めに決めて管理を集中させることです。
- 親株に近い1番子・2番子を育苗候補に
- 3番子以降は取り除くことで、栄養を集中させる
- ランナーは2〜3本以内に制限して、親株の疲弊を防ぐ
※写真掲載アドバイス:ランナーが伸びている様子と、1番子・2番子が出ている状態
子株の活着サポート:ポットと固定
選んだ子株は、**黒ポットや育苗箱の上に乗せて、軽く固定(Uピンなど)**すると発根しやすくなります。土はあらかじめ湿らせておき、乾燥しすぎないように管理。
- 根が出始めるまで、しっかりと湿り気を維持
- 発根が確認できたら、ランナーはまだ切らずにそのまま養分を吸わせておく
※写真掲載アドバイス:子株を黒ポットに固定した写真、発根確認前後の比較など
親株のメンテナンスも忘れずに
親株もここから数か月を生きる存在。育苗中の病気リスクを減らすためにも、
- 枯れた葉・古葉は整理して風通しを確保
- 週1〜2回の薄い液肥で栄養を補う
- 土の乾燥防止に草マルチや敷きわらも有効
【7〜8月】子株の育苗フェーズへ突入!
独立させるタイミング
子株の発根が十分に進み、ポット内で葉がしっかり展開してきたら、ランナーを切って自立させます(おおよそ6月末〜7月)。
- 根鉢ができていれば親株から切り離してもOK
- 自立後は完全に「新しい株」として扱う
- このタイミングから、葉数や株張りをよく観察する
※写真掲載アドバイス:切り離し直後の子株、しっかり根づいて葉が広がっている様子
真夏の乗り切り方
7〜8月の高温期は苗にとって試練の時期。以下のような対策が有効です:
- 半日陰の涼しい場所に移動(遮光ネットも有効)
- 朝または夕方の涼しい時間に水やり
- 葉焼け・蒸れを防ぐため、密植しないよう間隔を確保
ここまでくると、秋の定植まであと一歩!
【9〜10月】いよいよ定植へ!
定植の判断基準
子株の葉が5〜6枚以上あり、根がしっかり張っているようなら、定植の適期。秋が深まる前(10月上旬〜中旬)には済ませておくのがベストです。
- 株間は25〜30cm
- 花芽分化に備え、元肥は控えめに(定植後に追肥)
- 定植後1〜2週間はしっかり根づかせるため、水管理を丁寧に
※写真掲載アドバイス:ポット苗から畝への定植の様子、並んだイチゴ苗の姿
まとめ:親株の力を借りて、次世代へつなぐ育苗術
イチゴの育苗は、ランナーが伸びてからの「選抜」と「集中管理」が鍵。
親株を守りながら、子株を絞って育てることで、苗づくりの成功率も上がり、管理も楽になります。
5月から始めて、10月にはしっかりとした苗が定植できる。この約5か月のサイクルが、次のイチゴシーズンの土台となるのです。
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