玉ねぎ栽培に向けた畝作り、何から始める?
秋が深まり、玉ねぎの植え付け時期が近づいてくると、畝作りをどうするか悩む方も多いのではないでしょうか。
特に、前作がさつまいもだった畝を活かせるかどうかは、家庭菜園愛好家にとって重要なポイントです。
この記事では、無施肥で栽培してきたさつまいも跡地を利用し、玉ねぎに最適な畝に仕立てる方法を詳しく解説します。
苦土石灰によるpH調整、元肥の設計、リン酸過剰の見極め、そして追肥の考え方まで、実践的な情報をまとめました。
さつまいも跡地の活用メリットと注意点
さつまいも跡地は、実は玉ねぎにとって悪くないスタート地点です。
理由は以下のとおりです。
- 土が掘り起こされており、排水性・通気性が良い
- 肥料を使っていなければ、肥料過多の心配が少ない
一方で、さつまいもは養分吸収が控えめな作物で、窒素やリン酸をあまり消費しません。つまり「栄養が残っていない」のではなく、「もともと施していなかった」場合は、栄養不足が懸念されます。
玉ねぎは肥料をしっかり必要とする作物なので、跡地を使う際には、追加施肥が前提になります。
土壌pHの調整には苦土石灰を活用しよう
玉ねぎは酸性に弱い作物です。pHが5.5以下になると根張りが悪くなり、生育不良を起こすことがあります。
このため、畝づくりでは最初にpH調整を行うのが基本です。
苦土石灰は、pHを調整するだけでなく、光合成に必要なマグネシウムも同時に補給できる点で、非常に理想的な資材です。
散布のタイミングは、定植の2週間以上前が望ましく、その後しっかり耕し、黒マルチを敷いて地温と保湿を確保しておくと、玉ねぎに適した環境が整います。
肥料設計:堆肥・鶏ふん・バッドグアノをどう使うか
畝が整ったら、次は元肥の設計です。今回のケースでは「堆肥」「鶏ふん」「バッドグアノ」を使う構成で考えました。
完熟堆肥(自家製)
畝間に残った野菜や雑草から作った完熟堆肥があれば、それを活用するのが有効です。
完熟していれば、土壌の団粒構造を改善し、微生物の活動を活発化させてくれます。
堆肥が完熟しているかどうかの目安は、以下のとおりです:
- においが少なく、ツンとこない
- 温度が上がらない
- 繊維質がある程度分解されている
鶏ふん
鶏ふんは、即効性のある肥料として優秀です。特に窒素とリン酸が多く含まれており、玉ねぎの初期成育に効果を発揮します。
ただし、入れすぎると生育過剰や軟弱徒長の原因にもなりかねないため、定植の2週間前に適量を施すのがポイントです。
バッドグアノ
リン酸に特化した肥料として注目されているバッドグアノ(コウモリの排泄物由来)も、玉ねぎには有効です。
根張りを促進し、しっかりとした玉の肥大に貢献してくれます。
とはいえ、今回は前作が無施肥であったため、リン酸過剰の心配は少ないものの、念のため控えめに施用するのが安全です。
リン酸の過不足をどう判断する?
リン酸の過不足は土壌検査がないと見極めにくいものですが、いくつかの方法があります。
簡易土壌検査キットを使う
家庭菜園向けには、ホームセンターなどで手に入る「簡易土壌検査キット」が便利です。
水に土を混ぜ、比色シートでリン酸・窒素・カリの過不足をざっくりと確認できます。
プロの土壌分析サービスを活用
より正確に知りたい場合は、JAや農業試験場などで行っている「土壌分析サービス」を利用するのもおすすめです。
リン酸の可給態量(植物が吸収できる分)が数値で把握でき、今後の栽培計画にも役立ちます。
今回は無施肥だったさつまいも跡地であり、リン酸が過剰になっている可能性は極めて低いため、過敏になる必要はありません。
玉ねぎ栽培で注意すべき追肥と生育管理
元肥がしっかり効いていれば、玉ねぎは順調に育ちます。
ただし、根が浅く、肥料切れを起こしやすい作物なので、生育ステージに応じた追肥が重要です。
- 1回目追肥:定植から30〜40日後(本葉5〜6枚時点)
- 2回目追肥:2月上旬〜中旬(春の伸びが始まる前)
過剰な追肥は倒伏や病気(軟腐病など)の原因になるため、生育をよく観察しながら判断しましょう。
まとめ:過不足ない土作りが玉ねぎ栽培成功のカギ
さつまいも跡地を活かした玉ねぎ栽培は、少しの工夫とタイミングで高品質な収穫につながります。
苦土石灰によるpH調整、完熟堆肥と適量の肥料、そして控えめなリン酸施用がバランスよくかみ合えば、病気に強くしっかりと玉の詰まった玉ねぎが育ちます。
土作りこそが家庭菜園の要。植物の声を聞きながら、柔軟に対応していく姿勢が大切です。
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