春から初夏にかけて、苗は順調に育っているはずなのに、どこか元気がない。葉が薄い緑だったり、茎が細く弱々しかったり──。
「追肥しているのに効かない」「尻腐れが出てしまった」そんな声も聞かれます。
特に自然農や不耕起の畑では、土づくりや肥料の与え方に気を配っていても、カルシウム不足やpHの低下によって植物の養分吸収が妨げられていることがあります。そんなときにおすすめしたいのが、草木灰の葉面散布というケア方法です。
葉面散布とは?
通常の施肥は根からの吸収を前提としていますが、植物は葉からも一部の栄養を吸収することができます。特にカルシウムは植物体内で移動しにくいため、根から吸っても若い葉や実には届きにくいという特徴があります。
葉面散布は、必要な場所に直接栄養を届ける方法として、特に生育初期や根の働きが鈍っている時期に効果的です。
草木灰ってどんなもの?
草木灰とは、木材だけでなく雑草や落葉、藁などを燃やした後にできる灰のこと。木灰(木だけを燃やしたもの)よりもマイルドで、ミネラル成分が豊富です。
草木灰の特徴:
- カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルを含む
- pHを緩やかに中和する効果がある
- 自然素材なので自然農的な栽培にもなじみやすい
市販されている草木灰は、家庭菜園用に整えられており、使いやすく安全です。土に撒くのも良いですが、すでに作物が育っている時期には葉面散布で活用できます。
草木灰を使った葉面散布の方法
材料と道具:
- 市販の草木灰(完全燃焼されたもの)
- 水(1L)
- ふるい or コーヒーフィルター(目の細かい布でも可)
- スプレーボトルまたは霧吹き
作り方:
- 草木灰を小さじ2〜3(10g程度)、水1Lに溶かします。
- よくかき混ぜて数時間〜一晩置き、上澄み液だけを取り出す。
- フィルターで濾して、スプレーボトルに入れる。
- 朝または夕方、葉の表と裏にまんべんなくスプレーする。
- 7〜10日おきに繰り返す。
使用上の注意:
- 濃すぎると葉焼けの原因になるため、必ず薄めに。
- 高温・直射日光の時間帯は避ける。
- 他の液肥や農薬との混用は避ける。
どんなときに効果的?
- トマトやナス、ピーマンで尻腐れが出るとき
- 葉が黄緑〜黄色で、全体が弱々しいとき
- 根がうまく張っていないとき
- 自然農や無施肥で土壌が酸性に傾いている可能性があるとき
草木灰にはpHを緩やかに中和する効果もあるため、継続的に使うことで微細な土壌改善効果も期待できます。
自然農的な視点から
自然農や不耕起の栽培では、できるだけ外部資材を使わず、自然の循環の中で育てることを大切にしています。ただし、**植物が健やかに育つために必要な要素が欠けている場合は、足りない分だけを補ってあげるのも“自然の手助け”**です。
草木灰はその手段として、自然農に寄り添いながら実践できる柔らかな選択肢といえるでしょう。
まとめ
草木灰の葉面散布は、
- カルシウムをやさしく補給できる
- pH調整も期待できる
- 自然農的な畑でも使いやすい
- すでに定植済みの作物にも有効
という利点があります。
草木灰スプレーは、「ちょっと元気がない」植物にそっと寄り添う処方箋のような存在です。
自然のリズムと対話しながら、必要な栄養だけをやさしく届けてあげましょう。
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